ガルーダとは

神話の鳥と蛇

神話の鳥と蛇
ガルーダは鳥の姿をした神様です。もともとはインドの神話に登場する神様でした。それが、長い時間をかけて東南アジアや東アジアに広がっていきました。身近な例では、興福寺の迦楼羅(かるら)として日本にも来ております。ガルーダの神話には、ナーガという蛇の姿の神様がよく一緒に登場します。というのは、インド神話によるとガルーダ(神鳥)とナーガ(蛇神)は兄弟だからです。ガルーダとナーガはかっては不老長寿の霊薬を奪い合って死闘を繰り広げた敵同士でもありますが、そこは血のつながった兄弟のことですから離れられない間柄でもあるのです。

互いに拮抗するガルーダとナーガに似た関係は、それ以外の地域でも広く見られます。例えば、東アジアの鳳凰(鳥)と龍(蛇)との関係、キリスト教の天使(または鳥)と悪龍(蛇)との関係、ギリシャ神話のゼウス(鷲)とその妻ヘラ(蛇)との関係などにも相似性が認められます。こうなって来ますと、ガルーダを調べようとすると、ナーガも調べなくてはならないし、それだけではなくこの地球上に広がる想像上の鳥と蛇のシンボルの分布、言い伝え、民話、神話なども収集したくなります。ガルーダの研究は、壮大なプロジェクトとして実を結ぶ予感がします。私たちは、このプロジェクトに参加することにより、新しい世界文明観を創り上げる夢を共有することが出来るのではないでしょうか。

(左の写真)
インドのラダック地方、チベット仏教石窟の壁画です。中心に大きく描かれたのがガルーダで、その周りにたくさんのナーガ(蛇)が口を開けています。